読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

SEPPUKU Web

巣矢倫理子のブログです

映画「ハーモニー」感想

感想・レビュー

※2015/11/13にnoteに投稿した記事の移行版 内容に変更なし

※この文章には、映画「ハーモニー」及び原作の多大なネタバレが含まれます。自己責任で読んでください。批判的な評価をしていますが、私個人の意見なのでそこを十分念頭に置いてから見てください
総合評価……35点
よかったところ
・映像がきれい
・キャラの表情が豊か
・映像演出が実験的だと思った(珍しいやり方に見えた)
・沢城さんはすごいなあ
コーカサスでのミァハ登場シーン
ダメだったところ
・演出
・中盤飽きる
・大事なセリフがない
正直やめて欲しい、もう勘弁してくれというところ
・ミァハとトァンの関係描写
・脚本がマジでまずい
・最後のセリフ
・EGOISTの主題歌
今めちゃくちゃに虚脱している。「屍者の帝国」はひどかったけれどもハーモニーはまだましだろうと思っていた私がバカだった。無かったことにしたい。いや、まだ展開が理解できるぶん屍者の帝国よりはましではあったんだけど……。
大事なところを全部蹂躙されたハーモニーの姿の無惨さに絶望しているところに流れてくるEGOIST、傷口にキムチを揉み込まれている気分だったよ。
○まず気になったのは、「映像見せたいのか脚本聞かせたいのかはっきりしろ」ということ。双方が調和してどっちも頭に入ってくるのが理想だけど、ハーモニーはどちらも違う方向を向いていた。初見の人はセリフが頭に入らなかったんじゃないかと思う。
実験的に視点がぐるんぐるん変わる3D混じりの映像と、長い詩的なセリフ。前者はまぁ何を見せるためにこの視点をとってるんだか分からない部分が多かったけどかっこよくはあったし、後者は原作の美味しいところだから、単体ではどちらも分かる。
ただ、合成してアニメ作品として打ち出したらもうそれはそれはテンポが悪かった。眠かった。
○実は途中まではまあまあかもしれないと思っていたのだ。何度も記憶に現れるミァハと彼女のいる風景は美しかったし、エモいという言葉で片付けるならそれもアリだと思った。学生時代に思春期らしい鬱屈と言葉にしがたい関係をミァハに抱いていたトァンを表現するなら、それはそれでキレイだと思う。
私は「リリィ・シュシュのすべて」という映画が好きなのだが、あれも長くて冗漫なホームビデオが挟まっているし、「エモのためだけのつまらない映像」にも価値はある。
だがしかし、そのエモは説明的であってはいけないと思う。なぜここにこの映像を挟んだのかとか、位置付けを説明してほしくない。エモいものをこれはこういう映像です!!と説明したらそれはもう(少なくとも私のなかでは)エモではない!
そういう文脈にするなら本編からもっともっとセリフを削ってほしかった。直接的な言葉は絶対に使わず、ミァハとトァンのあやふやな関係を、あやふやな気持ちそのままとして出してほしかったのだ。
それを全部ぶち壊すのが脚本でありミァハとトァンの描写だったわけである。
○ミァハとトァンがキスしていたことが許せない。
キス自体というか、「完全に相思相愛、カップルになっているし一線も越えている」という印象のキス描写が、本当に私には耐え難かった。
原作の形容できない関係が良かったのに、これはいったい何なんだろう……。あの二人が恋人関係だったとき、物語はあんな風に動いただろうか。私にはそう思えないんだけども、他の人がどう感じるかはもう知らない。
ラストにかけてミァハがトァンのあごなめてたりとかちゅっちゅしてた当たりで本当に冷静になってしまった。

そして極めつけ、ラストのミァハを撃つときのセリフが、ひどい。
「でもね、その世界にあなたは連れていかない。私が好きなミァハのままでいて。ミァハ、愛してる」

……。
…………。
…………?????

そういう話じゃなくない?
逆にもはや私が読み間違ってるのかな?
そこまで個人的すぎる終わり方でいいの? いや実際そう思ってたとして、そこでそんなに直接的に言う……? SF要素全部ぼやけた……。また屍者の帝国の二の舞……????
そこでみんな意識をなくしましたよという世界中の色んな風景(ウユニ塩湖ですか……はいはい)が出てきて、最後に流れ始めるのがEGOIST。だめ押しに次ぐだめ押し。このエンディング曲がまた、個人的な関係を薄く歌ったウウーン!!という歌詞で、何もかも嫌になりました。
つらい!つらいよ!
ただコーカサスでミァハが暗がりから現れるシーン、あそこは好きです。ちょっと怖かったしドキドキできた。
○原作の名シーンが消されていた。
キァンの「カプレーゼ、来たね」「えう」がどっちもなかったのもびっくりしたし、最後にトァンがミァハにコーカサスの風景を見せるところがなかったのにも腰が抜けました。
そしてエゴイストが流れ始める。アー!
○改善するとすれば
・脚本を削る
・もしくは逆に聞いても聞かなくても関係ないぐらい難解にしてただのエモ映像にする
・視点を脚本に合わせて考え直し、脚本が頭に入りやすい示唆のある映像にする
・ミァハとトァンをいちゃいちゃさせまくらない
・意識なくすシーンをもっと大々的にする
・もっとはじめからサントラにコーラスをいっぱいつかって聖歌隊や教会音楽っぽくする
・主題歌をインストか日本語でない言語の曲にする
私から言えることはこんな感じです。もう、疲れたよ。