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巣矢倫理子のブログです

週刊少年ジャンプと私

 

14歳の冬、週刊少年ジャンプ2009年2号を前にして、「ここで止めよう」と決意した。奇しくもその号はのちに大大大大ヒットを飛ばす「黒子のバスケ」の第1話が掲載された号だったが、私が定期購読をやめる決意をしたきっかけは黒バスではない。2009年3号のジャンプで、私が愛してやまない漫画「ムヒョとロージーの魔法律相談事務所」の西義之先生の新作が始まるということを知ったからだった。

当時の私は経済的に逼迫していた。中学に上がってからお金を使う先は増えており、このままでは毎週ジャンプを購入することは難しい。しかし西先生の連載がスタートしてしまえば購入を止められなくなる。それゆえ、読む前に我慢をしよう。そういう発想だったのである。

あれ以来8年の月日が流れた。西先生の新作「ぼっけさん」は短命に終わってしまった。途中、「ピューと吹く! ジャガー」の最終回が掲載された号は購入したが、連続してジャンプを買うことはなくなった。しかし、2016年の11月、私は再びジャンプの定期購読に手を伸ばす。きっかけは「僕のヒーローアカデミア」で、第1話から全くまともな会話ができていなかったデクとかっちゃんがついに対話をしたという話をつかんだからであった。マジかよ! オタクは葛藤の末決済ボタンを押し、かくして毎週月曜日の朝にはアプリ「ジャンプ+」を速攻で起動するようになったのである。

 

前置きが長くなった。購読は現在も続けている。ジャンプは、面白い。読むところが多いというか、面白さの打率が異常に高いのである。

買い始めた当初は、話の流れが追えている作品はほぼヒロアカのみだったが、続けて読んでいるとだんだん物語の輪郭がはっきりしてくる。まず最初に面白いと思ったのは「約束のネバーランド」だった。子供達が養い親が見つかるまでの期間を過ごす孤児院が実は子供の肉を出荷するためのプラントだった、という度肝を抜く設定と、それを知った賢い子供達がどうにか「ママ」の目をあざむき孤児院を脱出して外で生きる手立てを模索する……というクローズドな場所で繰り広げられる心理戦は、確かに世間的な「ジャンプらしさ」からは遠いものだったが、読んでいる時の「来週どうなんの!!!!!!???????」という高揚感は確かに「ジャンプ的」だ。

さらに青葉城西戦の途中までしか読んでいなかった「ハイキュー!!」も、久しぶりに読みたくなって最新刊まで一気にレンタルして読んだ。めちゃくちゃ面白かった。あんなに部活にドライだった月島が、白鳥沢戦ではチームの屋台骨になっているではないか……。成長の幅があまりにも大きくて泣けた。

そして「左門くんはサモナー」だ。最初はギャグ漫画として楽しんでいたが、どんどん細かい人間描写が感動するほど緻密に作り込まれていることに気づいてしまい、夢中になった。友達がいないのにプライドが高い人間にここまで刺さるコメディはない。(この話はいずれ単独の記事でお目にかけたい。)

そのほかにも独特の絵柄と台詞回しがくせになる「鬼滅の刃」、異常にテンポのいいギャグ漫画「青春兵器ナンバーワン」など、一冊の密度がめちゃくちゃ高い。これが月900円でいいのか? おかげで月曜の朝に二度寝することがなくなった。

 

……二度寝。そう、今私は大学生ならではのクソ長い春休みを過ごしている。あんなに高い学費を払わせておいて一年の三分の一が休みってちょっとどうかと思う。やることがない。私の周囲は皆就活に向けて動いており、それぞれ忙しそうだ。

私は進学希望なので、特に喫緊の課題もなく消化試合のような毎日を過ごしている。長期目標しかない日々はやる気が出ない。友達と遊ぼうにも皆企業説明会だの何だので結局予定が合わない。時間ができると自分の人生とは……みたいなことを考え始めてしまい、将来の先行きが何も決まっていない不安で内臓がつぶれそうになる。冬から春という季節の変わり目は体調にも影響を及ぼしており、頭痛や倦怠感で起き上がれなくなるとさらに将来への不安を考え始めてしまい……という地獄ループである。

ジャンプを読みながら8年前の自分を考える。中学受験のストレスを救ってくれたのはMr.FULLSWING家庭教師ヒットマンREBORN!だったし、痛い創作意欲を手助けしてくれたのはBLEACHD.Gray-manだった。今年の私は再び受験生という身分である。今後日々のだるさや周囲の空気に当てられる時の焦燥感に耐え抜く時、再び週刊少年ジャンプを懐に抱くことになるだろう。「来週またあの漫画の続きが読める」という希望は、いつだって先の見えない一週間を照らしてくれるのだ。